コラム

顧客分析とは?8つのフレームワークや活用できるツール、成功事例を解説

顧客分析とは?8つのフレームワークや活用できるツール、成功事例を解説

現代のビジネスにおいて、市場の成熟化や顧客ニーズの多様化が進む中、「顧客を知ること」の重要性はかつてないほど高まっています。しかし、自社が保有しているデータをどのように分析し、具体的な施策に落とし込めばよいか悩んでいる担当者も少なくありません。

「データはあるが、使い方がわからない」
「エクセルで集計しているが、手間ばかりかかって成果が見えない」

といった課題を解決するためには、正しい顧客分析の手法と、それを支えるデータ基盤の整備が不可欠です。

本記事では、顧客分析の基礎知識から、BtoB・BtoC問わず活用できる代表的な8つのフレームワーク、具体的な手順、そして成功事例までを網羅的に解説します。また、分析の精度を劇的に高めるための「データ管理の鉄則」についても触れていますので、ぜひお役立てください。

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顧客分析とは?

顧客分析とは?

顧客分析とは、自社の顧客に関するさまざまなデータを収集・分類・解析し、顧客の属性や購買傾向、行動パターンを明らかにする活動のことです。

単に「誰が何を買ったか」を記録するだけでなく、

  • ・「なぜ買ったのか」
  • ・「次はいつ買いそうか」
  • ・「どのような不満を持っているか」

といった心理や将来の行動予測までを行うことが目的です。
顧客分析により、勘や経験に頼った営業活動から脱却し、データドリブンな意思決定が可能になります。

顧客分析の分析項目

顧客分析の分析項目

顧客分析において収集すべきデータは多岐にわたりますが、大きく分けて「定量データ」と「定性データ」の2種類があり、さらに具体的な項目として以下のように分類されます。

1. 属性データ

顧客の基本的なプロフィール情報です。BtoCとBtoBで収集するデータは異なりますので、それぞれの具体例を紹介します。

個人の場合(BtoC)氏名、年齢、性別、居住地、家族構成、職業、年収など
法人の場合(BtoB)企業名、業種、所在地、資本金、売上高、従業員数、設立年月、担当者の部署・役職など。

2. 行動データ

顧客がいつ、どのようなアクションを起こしたかの記録です。昨今では、現実世界の行動だけでなく、Web上での行動を追跡することも重要視されています。それぞれの具体例を紹介します。

Web行動PV数、滞在時間、閲覧ページ、流入経路、クリック率、資料ダウンロード履歴、メルマガ開封率。
リアル行動来店回数、来店時間帯、セミナー参加履歴、展示会での名刺交換履歴。

3. 購買データ

実際の取引に基づく数値データです。

購買データ購入日時、購入商品名、購入金額、購入点数、購入頻度、累計購入額、解約日。

4. 心理データ

顧客の意識や価値観に関する定性的な情報です。

心理データアンケート回答、口コミ・レビュー内容、問い合わせ内容、クレーム内容、ブランドに対する好感度、ライフスタイル、趣味嗜好。

これらの項目をバラバラに管理するのではなく、顧客IDなどで情報を紐付けて統合的に分析することで、顧客の「解像度」を高めることができます。

顧客分析を行う目的と必要性

顧客分析を行う目的と必要性

なぜ、顧客分析を行う必要があるのでしょうか。その目的は、企業の収益性を最大化し、持続的な成長を実現することにあります。具体的な3つの目的を見ていきましょう。

顧客解像度の向上

ビジネスは「顧客を知る」ことから始まります。しかし、顧客の姿は時代とともに変化し続けています。かつては「30代男性」という大まかなセグメントで通用していた商品であっても、現在では「30代男性・都内在住・アウトドア好き・環境意識が高い」といった細かい粒度で捉えなければ、心に響く提案ができません。

分析を通じて顧客一人ひとりのニーズや課題を深く理解することで、顧客解像度が上がり、「誰に」「何を」「どのように」伝えるべきかが明確になります。これにより、企業が打ち出す施策の刺さる確率が格段に向上します。

施策の最適化

限られた予算やリソースの中で最大の成果を出すためには、施策の「選択と集中」が必要です。すべての顧客に同じダイレクトメールを送る一斉配信は、コストがかかるだけでなく、興味のない顧客にとってはノイズとなり、ブランドイメージを損なう恐れがあります。

顧客分析を行えば、「今、購入意欲が高い顧客」や「解約しそうな顧客」を特定できます。確度の高い層にリソースを集中投下したり、顧客の状態に合わせた適切なタイミングでアプローチしたりすることで、CPAを下げ、ROIを最大化できます。

LTVの最大化

新規顧客の獲得コストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われています(1:5の法則)。そのため、現代においては、一度獲得した顧客といかに長く良好な関係を築くかがより重要視されています。顧客分析によって「優良顧客の共通点」を見つけ出し、特別なクーポンを配布するといった施策を実施したり、離反の兆候がある顧客を早期に検知してフォローを行ったりすることで、解約率を抑制します。

結果として、LTV(顧客生涯価値:一人の顧客が生涯を通じて企業にもたらす利益)を最大化し、安定した収益基盤の構築に繋がるのです。

顧客分析におすすめの8つのフレームワーク

顧客分析におすすめの8つのフレームワーク

顧客分析には体系化多くのフレームワークが存在します。目的や保有データに合わせてこれらを使い分けることで、効率的にインサイト(洞察)を得ることができます。ここでは代表的な8つの手法を紹介します。

RFM分析

顧客の購買行動を3つの指標でランク付けし、グループ分けする手法です。

  • Recency(最新購買日):最近いつ買ったか。
  • Frequency(購買頻度):どのくらいの頻度で買っているか。
  • Monetary(購買金額):いくら使ったか。

これらをスコアリングし、「優良顧客」「見込み顧客」「休眠顧客」「失注顧客」などに分類します。例えば、「Rが高い(最近買った)がFが低い(初めて)」顧客にはリピート促進のクーポンを、「Rが低い(しばらく買っていない)がMが高い(過去に大金を使ってくれた)」顧客にはカムバックキャンペーンを行うなど、グループごとに最適な施策を打つのに有効です。エクセルなどのツールを使用すれば、比較的簡単に実施できるため、小売やECサイトで頻繁に使われます。

デシル分析

顧客を購入金額の多い順に並べ、10等分(デシル=10)して各グループの比率を分析する手法です。上位のグループ(デシル1〜2)で売上の何割を占めているかを確認します。

一般的に、「上位20%の顧客で売上の80%を作っている」(パレートの法則)とされています。
デシル分析によりこのことがわかれば、下位グループへのアプローチコストを削減し、上位グループの維持に予算を集中させるといった判断ができます。非常にシンプルで分かりやすい反面、過去の累積データに基づくため、「かつて大量に買ったが最近は買っていない」顧客も上位に含まれてしまう点に注意が必要です。

セグメンテーション分析

顧客を特定の属性や条件でグループ(セグメント)分けする手法です。

  • 地理的変数:地域、気候、人口密度など。
  • 人口動態変数:年齢、性別、職業など。
  • 心理的変数:価値観、ライフスタイルなど。
  • 行動変数:利用頻度、利用シーンなど。

これらを組み合わせて「30代・女性・働くママ・週末利用者」のようなセグメントを作成し、それぞれのニーズに合わせた商品開発やプロモーションを行います。BtoBであれば「業種・従業員規模・決裁権の有無」などでセグメントします。

CTB分析

顧客の趣味嗜好を以下の3つの指標で分類し、将来の購買予測を行う手法です。

  • Category(カテゴリ):ファッション、家電、食品など、何を好むか。
  • Taste(テイスト):色、デザイン、サイズ、機能性など、どのような特徴を好むか。
  • Brand(ブランド):どのブランドやメーカーを好むか。

RFM分析などの定量分析では見えてこない「どんな商品が好きか」という質的な側面を分析できるため、アパレルやインテリアなど、個人の好みが購買に強く影響する業界で特に有効です。

行動トレンド分析

特定の季節や時期、曜日、時間帯ごとの顧客の購買傾向を分析する手法です。

  • ・「雨の日によく売れる商品は何か」
  • ・「給料日後に売上が伸びるカテゴリは何か」
  • ・「ゴールデンウィーク明けに増える問い合わせは何か」

といったシーズナリティやトレンドを把握します。これにより、在庫管理の最適化、スタッフのシフト調整、タイミングを合わせたキャンペーン展開などが可能になります。

コホート分析

「コホート」とは「同じ性質を持つ集団」のことです。特定の期間に特定の行動をとったユーザーグループを追跡調査する手法です。よく使われるのは、「〇月に入会したユーザー」というコホートを作成し、その後の1ヶ月後、3ヶ月後、半年後の「定着率」や「課金率」を分析するケースです。

例えば、「1月のキャンペーンで入会したユーザー」と「2月のキャンペーン入会したユーザー」のその後の継続率を比較することで、どちらのキャンペーンの質が良かったかを評価できます。SaaSやサブスクリプションビジネスで特に重要視されます。

LTV分析

顧客が取引開始から終了までに、どれだけの利益をもたらしたかを算出する分析です。

LTV = (平均購買単価 × 購買頻度 × 継続期間) - (新規獲得コスト + 顧客維持コスト)

この数値を分析することで、

  • ・「新規獲得にいくらまでコストをかけられるか」
  • ・「どのセグメントの顧客が最も利益率が高いか」

を判断できます。短期的な売上だけでなく、長期的な収益性を重視する場合に必須の視点です。

バスケット分析

アソシエーション分析とも呼ばれ、「買い物かご(バスケット)の中に、何と何が一緒に入っていたか」を分析する手法です。

例えば、バスケット分析の有用性を示す事例として有名なものとして「おむつとビール」の事例があります。「おむつとビール」とは、1990年代の米国で、金曜の夜に紙おむつを買う父親はビールも一緒に買う傾向があることから、この2つを近接陳列して実際に売上を伸ばしたという事例です。

この結果をもとに、ECサイトのレコメンド機能(「この商品を買った人はこれも買っています」)を実装したり、実店舗での棚割りを変更してクロスセルを狙ったりします。

顧客分析の手順

顧客分析の手順

やみくもにデータを分析しても成果は出ません。以下の7つのステップに沿って体系的に進めましょう。

手順①:KGI/KPIの設定

まず、何のために分析をするのかを明確にします。

「リピート率を5%改善する」
「特定の商品のクロスセル率を上げる」
「解約率を1%下げる」

など、具体的な数値目標(KGI/KPI)を設定しましょう。目的が決まれば、必要なデータや手法が自然と決まります。

手順②:仮説の立案

データを見る前に、「おそらくこうなっているのではないか」という仮説を立てます。

※例
「30代男性の解約が多いのは、サポート対応に不満があるからではないか」
「初回購入から2回目までの期間が空くと、離脱しやすいのではないか」。


仮説があることで、確認すべきデータポイントが絞られ、分析の効率が上がります。

手順③:必要なデータの定義と収集

仮説を検証するために必要なデータ項目を洗い出し、収集します。社内の販売管理システム、営業支援システム、Web解析ツール、アンケート結果など、あらゆるソースからデータを集めます。ここで重要なのは、データの鮮度と網羅性です。

手順④:データの加工・クレンジング(前処理)

収集したデータはそのままでは分析に使えないことがほとんどです。
表記揺れの統一((株)と株式会社など)、重複の削除(名寄せ)、欠損の補完、異常値の除外などを行います。この前処理が分析工程の8割の時間を占めるとも言われますが、ここを疎かにすると分析結果が狂うため、最も重要な工程です。

手順⑤:分析の実行

目的に応じて選定したフレームワークを用いて、実際にデータを集計・解析します。エクセルのピボットテーブルや関数を使うこともあれば、BIツールや専用の分析ツールを使うこともあります。

手順⑥:結果の解釈と施策の立案

分析結果から得られた事実と、当初の仮説を照らし合わせます。
「予想通り30代の解約が多かったが、原因はサポートではなく、料金プランへの不満だった」などのインサイトが得られたら、それに対して、新プランの提案、特別クーポンの配布といった具体的な施策を立案します。

手順⑦:実行と効果検証(PDCA)

立案した施策を実行し、一定期間後にその効果を検証します。
設定したKPIが達成されたかを確認し、うまくいかなければ原因を分析して次の施策に活かします。このPDCAサイクルを回し続けることで、分析の精度と施策の効果が高まっていきます。

顧客分析の活用例

顧客分析の活用例

実際に分析結果をどのようにビジネスに活かすのか、代表的なシーンを紹介します。

リード獲得・新規開拓

既存の優良顧客の属性や行動パターンを分析し、それと似た特徴を持つ未接触のターゲットに広告を配信します。「自社商品を気に入ってくれる可能性が高い層」にピンポイントでアプローチできるため、無駄打ちを減らし、効率的に質の高いリードを獲得できます。

休眠顧客の掘り起こし

過去に購入履歴はあるが、一定期間取引がない休眠顧客を抽出します。
RFM分析などで「休眠しているが、かつては優良顧客だった層」を特定し、「おかえりなさいクーポン」や「過去購入した商品の新モデル案内」などを送ります。新規顧客を一から開拓するよりも、過去に関係があった顧客への再アプローチの方が、コスト対効果が高いケースが多々あります。

顧客分析の成功事例

顧客分析の成功事例

BtoB、BtoCそれぞれの領域での成功イメージを見てみましょう。

事例①BtoB企業(ITサービス)

【課題】
リード(見込み顧客)は集まっているが、商談化率が低く、営業効率が悪かった。

【分析と施策】
過去の成約企業のデータを分析した結果、「従業員数が300名以上」かつ「特定のホワイトペーパー(資料)をダウンロードした企業」の受注率が突出して高いことが判明した。
そこで、この条件に当てはまるリードには、インサイドセールスが即座に架電する優先対応ルールを導入。一方で条件に合わないリードはメルマガ育成に回した。

【成果】
営業リソースを確度の高いリードに集中させたことで、商談化率が2倍、受注数が1.5倍に向上した。

事例②BtoC企業(アパレルEC)

【課題】
初回購入後のリピート率が低く、定着しないことが悩みだった。

【分析と施策】
バスケット分析とコホート分析を実施。その結果、「初回にボトムスを購入した顧客」は、その後にトップスを購入する確率が高く、長期的に定着しやすい傾向があることが分かった。逆に「セール品のトップス」から入った顧客は定着率が低かった。
そこで、初回購入特典として「ボトムスのサイズ交換無料キャンペーン」や「簿t無ス専用の割引クーポン」を展開し、入り口商品をボトムスへ誘導した。

【成果】
初回購入商品の構成比が変わり、LTVが前年比で120%改善した。

顧客分析で注意すべきポイント

顧客分析で注意すべきポイント

顧客分析を成功させるためには、いくつかの落とし穴に注意する必要があります。

データの「質」を確保する

元のデータに誤りがあったり、重複だらけだったりすると、どんなに高度な分析手法を使っても、出てくる答えは間違ったものになります。日々の入力ルールの徹底や、システムによる名寄せなど、データクレンジングを継続的に行う体制が必要です。

継続的に分析を行う

顧客のニーズや市場環境は常に変化しています。一度分析して終わりではなく、定期的に分析を行い、変化の兆候を捉え続けることが重要です。定点観測することで初めて、「先月より悪化している」といった異常に気づくことができます。

セキュリティへの配慮

顧客データは個人情報の塊です。分析のためにデータを抽出・加工する際は、情報漏洩が起きないよう細心の注意を払う必要があります。また、改正個人情報保護法などの法令を遵守し、プライバシーポリシーに則った利用範囲内で分析を行いましょう。

ツールに使われない

分析ツールやCRMは便利ですが、導入するだけで満足してはいけません。「ツールを入れたが、誰も見ていない」「機能が多すぎて使いこなせない」というケースは後を絶ちません。自社のリテラシーや目的に合った、使いやすいツールの選定が大切です。

顧客分析なら『Knowledge Suite+』

ここまで顧客分析の手法や重要性について解説してきましたが、「分析以前の問題」として多くの企業が直面するのが「データの汚れ」です。

  • 担当者ごとにエクセルで管理していて情報がバラバラ
  • ・同じ会社なのに「(株)」と「株式会社」の違いで別データ扱いになっている
  • ・合併や移転で古い情報が混ざっており、正しい情報がわからない

このような状態で分析を行っても、正しい判断はできません。正確な分析には、正確なデータが必要不可欠です。そこでおすすめなのが、AIを標準搭載した名刺CRM『Knowledge Suite+(ナレッジスイートプラス)』です。

『Knowledge Suite+』は、取り込んだ名刺データに対し、AIとオペレーターによる補正に加え、独自のロジックで「法人番号」を自動付与します。これにより、表記ゆれや同名他社を正確に判別し、重複データを徹底的に名寄せします。つまり、手入力や継続的なクレンジングをせずとも「常に最新でクリーンな顧客データベース」マスターデータベースが自動的に構築されます。

キレイに整備されたデータがあるからこそ、本来の目的である「分析と戦略立案」に即座に着手できます。「顧客分析を始めたいが、まずは社内のデータを整理しなければならない」という企業様にとって、『Knowledge Suite+』はデータ整備と管理、そして活用までをワンストップで支援する最適なソリューションです。

まとめ

まとめ

顧客分析は、属性、行動、購買、心理といった多角的なデータを収集し、RFM分析やセグメンテーション分析などのフレームワークを用いて現状を正しく把握することで、売上向上やコスト削減といった具体的な成果につなげることができます。

しかし、分析の成否を分けるのは、小手先のテクニックではなく収集した「データの質」です。どんなに優れた戦略も、誤ったデータに基づいていれば失敗に終わります。

まずは自社の顧客データが正しく管理されているかを見直してみてください。もしデータが散在していたり、整備に手間取っているようであれば、『Knowledge Suite+』のようなツールを活用して、強固なデータ基盤を構築することから始めましょう。

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【執筆者】

執筆者:松岡 禄大朗

松岡 禄大朗

ブルーテック株式会社・デマンドジェネレーション部所属。
前職のWEB広告代理店で広告運用やアクセス解析を担当。
WEBマーケティング知識を活かして、現在はコンテンツマーケティングに携わり数多くの記事を執筆。

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