ソリューション営業とは?2つのスタイルや必要スキル、実施手順を紹介

ソリューション営業は、単に商品やサービスを売るのではなく、顧客が抱える課題を深く理解し、それに最適な解決策を提案する営業手法です。商品説明中心の営業とは逆で、顧客との信頼関係構築や長期的なパートナーシップが重視されます。言い換えれば、売ることよりも「顧客の成果を出すこと」が目的です。
本記事では、ソリューション営業の定義や2つのスタイル、他の営業手法との違い、そして具体的な実施手順までを解説します。この記事を読むことで、顧客満足度と売上の双方を高める営業の全体像が理解できるでしょう。
【この記事の目次】
ソリューション営業とは何か

ソリューション営業とは、顧客の課題やニーズを丁寧にヒアリングし、その問題解決に直結する提案を行う営業手法です。単に製品やサービスを紹介するだけではなく、顧客の業務プロセスや背景を理解し、最適な組み合わせや活用方法を提案します。
この手法は、顧客が抱える「顕在的な課題」だけでなく、まだ気付いていない「潜在的な課題」にもアプローチできる点が特徴です。結果として、短期的な契約だけでなく、継続的な取引や長期的な信頼関係の構築にもつながります。
ソリューション営業の種類と特徴

ソリューション営業には大きく分けて2つのスタイルがあります。
- ・問題解決型
- ・インサイト型
それぞれの特徴を理解することで、自社の営業活動に最適な手法を選択しやすくなります。
①問題解決型
「問題解決型」とは、顧客がすでに認識している課題や要望に対し、最適な解決策を提示する営業スタイルのことです。たとえば「業務の効率化」や「コスト削減」といった明確なニーズに対し、自社製品やサービスをどのように活用すれば課題を解決できるのかを具体的に示します。
このアプローチでは、課題の背景を正確に把握するヒアリング力と、提案の裏付けとなる分析力が重要です。顧客の期待を的確に捉え、納得感のある提案ができるかどうかが成果を左右します。
②インサイト型
「インサイト型」とは、顧客自身が気付いていない潜在的な課題を発見し、その解決策を提案するスタイルのことです。市場動向や業界トレンド、他社事例などの情報をもとに「なぜその課題に取り組む必要があるのか」を示し、課題認識から解決策までを導きます。
具体例として、売上が安定している企業に対しても、市場縮小リスクや競合の新戦略を踏まえた改善提案を行うケースがあります。この手法では、提案力や説得力に加えて、顧客のビジネス全体を俯瞰する視点が不可欠です。
他の営業スタイルとの違い

ソリューション営業は、他の営業スタイルとは目的やアプローチ方法が異なります。ここでは、代表的な営業スタイルとの違いを比較します。
ソリューション営業とプロダクト営業の違い
プロダクト営業は、製品やサービスの機能や価格といった「商品力」を前面に押し出し、その魅力で購入を促す手法です。短期間で成果を出しやすい反面、顧客ごとの状況に合わせた提案は難しく、関係が浅くなりがちです。
一方、ソリューション営業は顧客の課題や背景を丁寧に把握し、その解決策として製品やサービスを提案します。課題分析力と提案力が成果を左右し、信頼関係の構築や長期的な取引につながります。BtoBのような長期的関係が重視される取引では、特に有効なアプローチです。
ソリューション営業とアカウント営業の違い
アカウント営業は、特定の大口顧客や既存顧客との関係を長期的に維持・拡大し、継続的な収益基盤を築くことを目的とする営業手法です。顧客の事業や業界動向を深く理解し、定期的な提案やサポートを通じてアップセルやクロスセルの機会を創出します。
一方、ソリューション営業は顧客の課題解決を起点に、新規・既存を問わず最適な解決策を提案します。課題に即した提案力が強みですが、アカウント営業のように長期的関係構築を前提とするわけではありません。そのため、短期的な成果を重視する場合はソリューション営業が適しており、継続的な取引や顧客ロイヤリティの向上を目指す場合はアカウント営業が有効といえるでしょう。
能動型ソリューション営業に求められるスキル

能動型ソリューション営業とは、顧客からの相談を待つだけでなく、自ら課題を発見し提案する営業スタイルです。このスタイルを実現するためには、複数のスキルが必要です。以下では、特に重要な3つを紹介します。
ヒアリング力
顧客との対話を通じて、表面的なニーズだけでなく、潜在的な課題や背景まで深く理解する力です。単に質問するだけではなく、相手が安心して話せる雰囲気をつくり、適切な質問で会話を掘り下げていきます。顧客の言葉の裏にある意図や感情を読み取り、必要に応じて確認しながら整理することで、真のニーズが明確になるでしょう。
ヒアリングスキルを備えていれば、その後の提案や解決策の精度は格段に高まります。
分析力
ヒアリングや調査で得た情報を整理し、課題の構造や原因を明確にする力です。事実と仮説を切り分け、論理的に整理することで、問題の本質が見えてきます。正確な分析ができれば、提案内容はより説得力を持ち、顧客からの信頼も高まるでしょう。
また、分析結果を分かりやすく伝えることも、成果につながる重要なポイントです。
提案力
顧客にとって魅力的であり、かつ実現可能な解決策を示す力です。自社の強みやリソースを、顧客の課題やニーズと的確に結びつける発想力が求められます。また、提案の背景やメリットを具体的に説明することで納得感や信頼感を高め、採用される確率を一段と高められます。
さらに、複数の選択肢を提示し、顧客自身に選んでもらうアプローチも有効でしょう。
ソリューション営業を成功させるコツ

成果を出すには、戦略的な行動と日々の工夫が欠かせません。以下の3つのポイントが特に有効です。
信頼関係の構築
ソリューション営業を成功させる最大の鍵は、顧客からの信頼を得ることです。約束を守り、迅速な対応や期待を上回る行動を徹底しましょう。
古い情報や更新されていないデータは信頼を損なう原因となるため、常に最新情報を活用して提案の説得力を高めることが重要です。商談後の迅速なフォローや情報共有、課題発生時の即応対応に加え、顧客の長期的な成功を見据えた提案で、「パートナー」としての信頼を築けます。
課題の本質を見抜く
ソリューション営業で成果を上げるには、顧客の表面的な要望にとどまらず、その背後にある真の課題を見極めることが不可欠です。
小手先の改善だけでは、競争がきつい市場で生き残ることはできません。将来の成長や競争優位性を見据えた、戦略的かつ実効性のある提案が求められます。丁寧なヒアリングで事実や背景を深掘りし、潜在的なリスクや機会を洗い出すことで、他社との差別化が可能になります。単なる問題解決にとどまらず、未来志向の提案を行うことこそが、本質を見抜く営業の価値です。
継続的な情報提供
信頼される営業になるには、顧客にとって価値のある情報を定期的に届け続けることが重要です。情報発信を継続することで「この人からはいつも有益な話が聞ける」という存在感が強まり、長期的な関係構築につながります。
具体的には、業界動向や最新の市場データ、課題解決につながるヒントなどをタイムリーに提供するのが効果的です。重要なのは、単なる宣伝や売り込みではなく、顧客の課題解決や成長に直結する情報を厳選して提供することです。これにより、取引がない時期でも関係を維持でき、次の商談や提案の機会を自然に生み出せます。
ソリューション営業を実施する流れ

ソリューション営業はやみくもに提案するのではなく、段階を踏んで進めることで成果が最大化します。特に効果的なのは、顧客理解から提案・実行までを体系化したプロセスを活用することです。この章では、成果を出すための代表的な5つのステップを順を追って紹介します。
ステップ①:情報収集
ソリューション営業の成否は、この情報収集フェーズでほぼ決まります。まずは顧客の会社概要・業績推移・組織体制・過去の取引履歴などの基本情報を押さえたうえで、業界全体の動向や競合の動き、市場の課題もリサーチします。
さらに、ニュース記事・決算資料・IR情報・SNSなど複数の情報源を活用し、顧客が直面している可能性のある課題を多角的に分析しましょう。こうして得た情報をもとに「顧客は今、何に困っているのか」という仮説を立てておくことで、次のヒアリングや提案の精度が格段に高まります。
ステップ②:ヒアリング
ヒアリングは、顧客の「言葉の裏にある本音」を引き出す重要なステップです。単に要望を聞くだけでなく、現状の業務プロセス・組織体制・課題が生じている背景まで深掘りすることが欠かせません。効果的に進めるには、傾聴と質問をバランスよく組み合わせます。
- ・傾聴:相手の話を途中で遮らず、理解していることを適切に相づちや要約で示す
- ・質問:事実確認にはクローズド質問、考えや感情の把握にはオープン質問を使い分ける
さらに「なぜそうなっているのか?」を3回以上掘り下げることで、表面の要望の奥にある真のニーズを明らかにできます。
ステップ③:課題分析
ヒアリングや調査で得た情報を体系的に整理し、課題の原因・影響範囲・優先度を明確にします。
このとき、原因を深掘りするために「なぜ」を繰り返すロジックツリーや、影響度と緊急度で分類するマトリクス分析などを活用すると効果的です。こうして導き出した分析結果は、提案の方向性や説得力を支える「根拠」となり、顧客に納得感を与えやすくなります。
ステップ④:提案
分析で特定した課題に対して、顧客の状況や制約条件に合った具体的かつ実現可能な解決策を提示します。その際は、単なる機能やサービスの説明にとどまらず、導入後に得られるメリットや成果予測を数値や事例で示すことが重要です。また、1案だけでなく複数の選択肢を提示し、顧客が比較検討できる形にすることで、納得感と意思決定のスピードを高められます。
ステップ⑤:フォローアップ
提案が採用された後は、実行状況や成果を定期的に確認し、必要に応じて改善策や追加サポートを行いましょう。この段階では、単なる「納品後の挨拶」にとどめず、進捗データの共有や効果測定の報告、さらに予期せぬ課題への迅速な対応が重要です。適切なフォローアップを継続すれば、顧客の満足度が高まり、信頼関係も一層強化されます。その結果、将来的なリピート受注や追加提案の成功率が大きく向上します。
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ここまで、ソリューション営業の定義や2つのスタイル、必要なスキル、そして実施の5ステップについて解説してきました。こうした営業活動を成功させるためには、顧客情報や商談履歴を正確かつ効率的に管理し、チーム全体で共有できる環境が欠かせません。そこでおすすめしたいのが、ブルーテック株式会社が提供するクラウド型ビジネスアプリ『Knowledge Suite』です。
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まとめ

ソリューション営業は、顧客の課題を深く理解し、最適な解決策を提案する営業手法です。問題解決型・インサイト型の2つのスタイルがあり、いずれもヒアリング力・分析力・提案力といったスキルが成果を左右します。
成功させるためには、信頼関係の構築、課題の本質を見抜く力、継続的な情報提供が重要です。また、情報収集から提案、フォローアップまでの5ステップを体系的に実施することで、成果と顧客満足度を同時に高められます。さらに、SFA・CRMツールを活用すれば、情報管理や共有がスムーズになり、提案の質とスピードが向上します。営業活動の質を一段引き上げたい企業は、ツールの導入も視野に入れるとよいでしょう。
【執筆者】

松岡 禄大朗
ブルーテック株式会社・デマンドジェネレーション部所属。
前職のWEB広告代理店で広告運用やアクセス解析を担当。
WEBマーケティング知識を活かして、現在はコンテンツマーケティングに携わり数多くの記事を執筆。
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