クロスセルとは何?アップセルとの違い・成功事例やメリットを徹底解説

近年、多くの企業がクロスセルやアップセルを活用し、売上や利益の向上を図っています。これらの手法を適切に取り入れることで、顧客満足度を維持しながら購買単価を引き上げることが可能です。
本記事では、クロスセルとアップセルの定義や違いを整理し、それぞれのメリットや効果的な活用方法を解説します。加えて、成功事例や具体的な実践手順に加え、SFAツールとの連携によるマーケティング強化のポイントについても紹介します。自社の売上拡大やマーケティング施策の改善に、ぜひお役立てください。
【この記事の目次】
クロスセルとは?

クロスセルとは、すでに特定の商品やサービスを購入する意欲がある顧客に対し、補完的な追加商品や関連サービスを提案して売上を拡大する販売手法を指します。
たとえばパソコンを購入する人に、周辺機器やソフトウェアを紹介する形が典型例です。ECサイトではレコメンド機能として広く導入されており、購入者が気づいていないニーズを掘り起こす効果も期待できます。近年はAI分析により、より精度の高い提案が可能になっています。
アップセルとの違いとは
アップセルは、顧客が最初に検討している商品よりも上位グレードや高価格帯のプランを提示する方法です。たとえばスマートフォンを買おうとする顧客に、ストレージ容量が大きいモデルや上級ブランドを勧めるケースが挙げられます。
一方でクロスセルは、すでに選ばれた商品に追加する形で関連アイテムを提案する点が特徴です。どちらも客単価を向上させますが、アップセルは単価上昇、クロスセルは周辺需要の喚起に焦点を当てる手法といえます。
クロスセルの3つのメリット

クロスセルを導入すると、客単価アップや顧客満足度の向上など多方面でメリットがあります。以下からは、代表的な3つのメリットを紹介しますので、施策立案の参考にしてみてください。
- ・客単価向上による収益増
- ・顧客満足度の向上
- ・在庫回転率の改善
客単価向上による収益増
クロスセルを行う最大のメリットは、顧客一人当たりの購入金額を引き上げられる点です。追加で関連商品やサービスを提案することで、顧客は自然な形で「もう一品」を検討します。たとえばECサイトで「この商品を購入した人は、こちらも購入しています」といったレコメンドが典型例です。
結果として、販売側は単純に単価を上げるのではなく、複数商品を組み合わせて売上を伸ばせます。
顧客満足度の向上
クロスセルは追加の売り込みではなく、顧客のニーズに合った商品を提示する手段でもあります。購入した商品を活用するうえで必要な周辺機器やサービスを合わせて提案すると、顧客は「欲しかったものを見つけやすい」と感じるケースが多いです。これによって購買体験の質が向上し、カスタマーエクスペリエンス全体を高める効果が期待できます。
顧客満足度が高まれば、その後のリピート購入やクチコミ評判にも好影響を及ぼします。
在庫回転率の改善
複数の関連商品をセットで提案できるため、在庫の偏りを防ぎやすい点もクロスセルの大きなメリットです。単品では売れにくい商品も、主力製品と組み合わせることで購買機会が増え、在庫の回転率向上につながります。これによりキャッシュフローが改善し、資金効率の最適化が期待できます。在庫管理の効率化が進むことで、商品の鮮度や品質を維持しやすくなり、ビジネス全体の最適化にもつながるでしょう。
クロスセルを行う際の手順

クロスセルを実施するにあたって、事前準備や提案方法など、いくつか押さえるべきステップがあります。以下に4つの工程を挙げ、順を追って解説していきます。
手順1:顧客データの分析とセグメンテーション
まずは自社の顧客データを分析し、購買傾向や属性に応じてグルーピングすることが重要です。
顧客がどのような商品を購入しやすいのか、どのタイミングで追加購入が発生しやすいのかを把握することで、効果的なクロスセル戦略の基盤が整います。この際にRPAツールを活用すると、POSレジやECサイトなど複数の販売チャネルからデータを自動で収集・統合でき、手作業を減らしながら分析精度を高めることが可能です。
さらに、AIとの組み合わせにより購買パターンの細かなセグメント分けが可能となり、最適なタイミングでの提案がしやすくなります。
手順2:ターゲット商品と訴求ポイントの設定
続いて、クロスセルとして提案したい商品と、その魅力を訴求するポイントを明確に決めます。
たとえばパソコン販売時に追加するプリンターやソフトウェアの場合、コスト削減や作業効率向上といった具体的なメリットを示すと購入意欲が高まりやすいです。顧客が「これがあれば便利だ」と納得できる理由を、数値データや具体例を交えながら提示することで、押し売りの印象を与えずスムーズに受け入れてもらえます。
手順3:最適なタイミングとチャネルでの提案
商品をレジに入れた直後や、契約更新時など「顧客が次の行動を考える瞬間」に合わせて提案することがポイントです。ECサイトであれば、購入確認ページやカート画面で関連アイテムを紹介できます。実店舗の場合はレジ周りや接客時にカタログを見せる、あるいはスマホアプリのプッシュ通知で送る方法も有効です。
SNS広告やメールマガジンも活用し、顧客が興味を抱きやすいチャネルでタイミングよく訴求する仕組みを整える必要があります。
手順4:効果検証と継続的な最適化
クロスセルを実施した後は、各施策の成果を測定し、改善点を明確にすることが重要です。具体的には、クロスセルによる購入率、平均客単価、顧客満足度アンケートの結果などを総合的に分析します。効果の高いパターンが見つかれば全体へ展開し、反応が低かった部分は商品ラインナップや訴求方法を見直しましょう。
PDCAサイクルを回しながら改善を重ねることで、クロスセルのROIを着実に向上させられます。
クロスセルを行う際のポイントとは?

クロスセルを成功させるためには、単純に追加商品を勧めるだけでは不十分です。ここでは、実務で押さえておきたい3つのポイントを解説します。
- ・顧客目線の提案を徹底する
- ・購買データを積極活用する
- ・顧客に負荷をかけない設計
顧客目線の提案を徹底する
顧客が本当に求めているものを正確に把握し、負担なく選べる形で提案することが重要です。売り手の都合を優先すると、押し付けがましい印象を与え、購買意欲を損ねる可能性があります。そのため、顧客レビューや検索キーワードの分析を活用し、実際のニーズを深掘りすることが欠かせません。導き出した価値をわかりやすく伝えることで、顧客満足度を維持しながら売上向上につなげられます。
購買データを積極活用する
既存顧客の購買履歴を参考にすることで、相性のいい商品セットを見極めやすくなります。大量のデータを扱う場合は、AIや機械学習を活用し、関連パターンを抽出する手法が有効です。
2024年時点では、BigQueryなどのビッグデータ分析基盤を使い、リアルタイムでレコメンドを更新する事例も増えています。適切なデータ分析を行うことで、クロスセルの成功率を高められるでしょう。
顧客に負荷をかけない設計
クロスセルを提示するタイミングや場所、文面の長さに配慮しなければ、顧客に煩わしさを感じさせる恐れがあります。たとえば、チェックアウト画面で過剰に商品を推奨すると、離脱率が上昇するケースも少なくありません。
そのため、提案する情報は必要最小限に絞り、適切なインターフェースでわかりやすく提示することが重要です。満足度を維持しながら購買意欲を高めるには、クロスセルの設計とユーザビリティの両立が欠かせません。
クロスセルにおける注意点

クロスセルは効果的な反面、やり方を誤ると顧客離れを招くリスクもあります。以下の2点に気を付け、失敗を防ぎましょう。
- ・過剰な提案で顧客を疲れさせない
- ・関連性の低い商品を紹介しない
過剰な提案で顧客を疲れさせない
何度もクロスセルを提示すると、顧客はしつこさを感じてしまいます。とくにメールやプッシュ通知で過剰に商品を勧めると、配信停止やアプリの削除といった逆効果を招きかねません。さらにレジ画面で延々とおすすめが出ると、購入の意欲自体を削ぐリスクも生じます。
適度な回数と内容を心がけましょう。
関連性の低い商品を紹介しない
クロスセルでは商品同士の親和性が高いことが前提になります。たとえば化粧品を購入しようとしている顧客に、まったく無関係な家電を勧めても興味を持たれにくいです。むしろ「売りたいだけ」という印象を与え、ブランドの信頼度を損ねる可能性があります。
関連性を確認し、顧客に本当に役立つ組み合わせを提示する姿勢が大切です。
クロスセルの成功事例3選

クロスセルを効果的に運用している事例は多岐にわたります。ここでは、実際に成果を上げている3つのケースをご紹介します。
クロスセルをシステム化し成功したAmazon
クロスセルをシステム的に活用し、大きな成功を収めている代表的な企業がAmazonです。Amazonでは、商品ページの下部に「閲覧履歴に基づくおすすめ商品」や「この商品を買った人はこんな商品も購入しています」といったレコメンドが自動表示されます。
顧客の購買履歴や閲覧データをもとに最適な商品を提案するこのシステムにより、顧客単価の向上やリピート購入の促進につなげ、継続的な成長を実現しています。
携帯販売代理店におけるクロスセルの成功事例
携帯電話の販売代理店も、クロスセルを活用しながら売上を拡大している業界のひとつです。なかでも代表的なのが、機種変更時の提案型営業です。
機種自体は顧客の好みや希望で決まりやすいため、代理店は本体の販売に加え、動画ストリーミングサービスなどのオプションを提案します。携帯電話と親和性の高いサービスを組み合わせることで、顧客の利便性を高めながら売上向上につなげている成功事例といえるでしょう。
顧客管理ソフトが実践するクロスセルの成功事例
ある顧客管理ソフトウェア企業は、CRM(顧客管理)を基盤とし、売上向上と顧客満足度の最大化を目指しています。当初は顧客情報を一元管理できるシステムを提供していましたが、導入企業のニーズに応じてマーケティング支援や営業支援といった追加機能を開発し、新たな課題を解決するソリューションとして提案を続けてきました。
このように、ひとつのサービスを起点に顧客との関係を深めながら、必要に応じて追加機能を提供することでクロスセルの効果を高めています。進められます。
SFAなら『Knowledge Suite』

顧客ごとのニーズに合った商品提案を行う「クロスセル」や「アップセル」は、いまや売上最大化の常套手段です。しかし、それを実現するには、顧客情報の正確な把握と最適なタイミングでの行動が不可欠です。
ブルーテック株式会社の『Knowledge Suite』は、SFA(営業支援)・CRM(顧客管理)・グループウェアを一体化したオールインワン型営業支援ツールです。顧客データの蓄積・共有・活用をすべてこのツール一つで完結できるのです。また、ユーザー数無制限の定額制だから、組織全体で導入しても低コスト。さらに、セグメントごとの行動分析やレポート機能により、戦略的なクロスセル/アップセルの仕組み化が可能になります。
売上アップと業務効率化を両立させたい企業様は是非一度ご相談ください。
まとめ

本記事では、クロスセルの基本概念や効果的な活用方法について解説しました。クロスセルは、アップセルと並ぶ重要なマーケティング手法であり、適切に運用すれば顧客単価の向上につながります。顧客目線を重視しながらデータ分析と提案の設計を工夫することで、満足度を損なうことなく、売上を伸ばすことが可能です。
さらに、SFAツールを活用すれば、データの分析や提案の自動化が進み、継続的な最適化を実現しやすくなります。顧客情報を丁寧に管理し、関連商品を厳選して提案することで、長期的な信頼を築きながらビジネスの成長を加速させましょう。
【執筆者】

松岡 禄大朗
ブルーテック株式会社・デマンドジェネレーション部所属。
前職のWEB広告代理店で広告運用やアクセス解析を担当。
WEBマーケティング知識を活かして、現在はコンテンツマーケティングに携わり数多くの記事を執筆。
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