アウトバウンド型営業とは?インバウンドとの違い、成功のコツを紹介
インターネットやSNSの普及により、顧客の購買行動は劇的に変化しました。顧客は自ら情報を検索し、比較検討を行ってから問い合わせをするようになり、これに合わせて企業の営業手法も「インバウンド型」へとシフトしつつあります。
しかし、だからといって昔ながらの「アウトバウンド型営業」が不要になったわけではありません。むしろ、競合他社がインバウンドに傾倒している今こそ、戦略的なアウトバウンド営業は、他社がリーチできていない層を開拓する強力な武器となります。
本記事では、アウトバウンド営業の基礎知識やインバウンドとの違いといった基本から、具体的な施策、メリット・デメリット、成果を出すためのコツまでを網羅的に解説します。
【この記事の目次】
営業のアウトバウンドとは

アウトバウンド(Outbound)型営業とは、企業から顧客に対してアプローチをかける営業スタイルの総称です。「Push(プッシュ)型営業」とも呼ばれ、テレアポや飛び込み営業、ダイレクトメール(DM)などがこれに該当します。
顧客側からのアクションを待つのではなく、企業側がターゲットを選定し、能動的に売り込みを行うのが最大の特徴です。まだ自社の商品を知らない層や、課題を自覚していない層に対して、こちらから接点を作りに行く「攻めの営業」と言えます。
英語のアウトバウンドの意味
そもそも「Outbound」という英単語は、「外へ向かう」という意味を持っています。
- 旅行業界: 日本から海外へ旅行に行くこと(対義語は訪日旅行のインバウンド)
- 通信・コールセンター: オペレーターから顧客へ電話をかけること(発信業務)
- 広告業界: Web広告や交通広告など、不特定多数へ向けて発信する広告
営業においては、「自社(内)から顧客(外)へ向かって働きかける」という意味で使われています。
インバウンド営業とは

アウトバウンドの対義語である「インバウンド(Inbound)型営業」は、「Pull(プル)型営業」、日本語では「反響営業」とも呼ばれます。企業側から売り込むのではなく、顧客に見つけてもらい、顧客の方から問い合わせや資料請求をしてもらうスタイルのことです。
特徴
インバウンド営業の主な手段には、以下のようなものがあります。
- ・Webサイト(オウンドメディア)での記事発信(SEO対策)
- ・SNSでの情報発信
- ・ホワイトペーパー(資料)のダウンロード
- ・Web広告(リスティング広告など)
- ・セミナー・ウェビナー開催
最大の特徴は、顧客が能動的に動いている点です。「知りたい」「解決したい」という意欲を持った状態で接触してくるため、すでに購買意欲(確度)が高い傾向にあります。
インバウンド型営業が重要視されている理由
近年、インバウンド営業が重要視されている背景には、インターネットの普及があります。
かつて情報を手に入れる手段は、テレビCMや雑誌・新聞などのメディア、または営業マンが直接企業や個人宅に訪問し、詳細な製品情報を持ってくるなどの方法がほとんどでした。
現在は顧客がGoogle検索やSNSで簡単に情報を入手し、自由に比較検討できるようになりました。また、迷惑電話や強引な売り込みに対する嫌悪感(営業アレルギー)が高まっていることも要因です。「売り込まれたくない、自分で選びたい」という顧客心理に対し、有益なコンテンツを提供して信頼を獲得するインバウンドの手法がマッチしているため、多くの企業が注力しているのです。
アウトバウンド型営業の4つの施策

インバウンド全盛の時代ですが、待っているだけでは出会えない顧客もいます。ここでは代表的なアウトバウンド営業の手法を4つ紹介します。
テレマーケティング(テレアポ)
リストアップした企業や個人に電話をかけ、アポイントの獲得や商談を行う手法です。
最も古典的ですが、ダイレクトに担当者と会話ができるため、即効性があります。声のトーンで相手の温度感を探ったり、その場で疑問を解消したりできるのが強みです。ただし、近年はリモートワークの普及でオフィスに担当者が不在のケースも増えており、難易度は上がっています。
ダイレクトメール(DM)・手紙
ハガキや封書、FAXなどを郵送する手法です。
テレアポとは異なり、形として手元に残るため、タイミングが合えば決裁者の目に留まる可能性があります。特に、経営者宛の手書きの手紙や、デザイン性の高い封筒などは開封率が高まる傾向にあります。ITリテラシーが高くない業界や、PCをあまり見ない職種へのアプローチに有効です。
問い合わせフォーム営業
企業のWebサイトにある「お問い合わせフォーム」から営業メールを送る手法です。
テレアポのように断られる心理的負担が少なく、短時間で大量にアプローチできるのが特徴です。また、文章でサービスの魅力を伝えられるため、URLを添付してWebサイトへ誘導することも可能です。ただし、あくまで「問い合わせ」用の窓口であるため、過度な売り込みはクレームに繋がるリスクがあります。
飛び込み営業
事前のアポイントなしに企業や個人宅を訪問する手法です。
門前払いされる確率は非常に高いですが、対面で話せるため、営業マンの人柄や熱意を伝えやすいというメリットがあります。地域密着型のビジネスや、店舗向けの営業などでは、現在でも有効な手段として活用されています。
アウトバウンド型営業を実施するメリット

「古い手法」と思われがちなアウトバウンドですが、ビジネスモデルによってはインバウンド以上に高い効果を発揮します。
ターゲットを自社でコントロールできる
これが最大のメリットです。インバウンド営業では、どのような顧客が問い合わせてくるか完全にはコントロールできません。ターゲット外の顧客対応に追われることもあります。一方、アウトバウンドなら「従 業員数〇〇名以上の製造業」「〇〇エリアのクリニック」といった具合に、自社が取引したい理想の顧客(ターゲット)をピンポイントで狙い撃ちできます。ABM(アカウント・ベースド・マーケティング)のような戦略的な営業には不可欠です。
潜在層(ニーズに気づいていない層)を開拓できる
インバウンドは「検索する」というアクションを起こしている顕在層には強いですが、「そもそも課題に気づいていない」「解決策があることを知らない」という潜在層にはリーチできません。アウトバウンド営業によって「御社にはこんな課題がありませんか?」「実はこんな方法でコスト削減ができます」と提案することで、眠っていたニーズを掘り起こし、新たな市場を作り出すことができます。
短期間で成果を出せる可能性がある
インバウンド施策(SEOやコンテンツ制作)は、効果が出るまでに半年〜1年といった長い時間がかかります。対してアウトバウンドは、今日電話をかければ、今日アポイントが取れ、明日には商談ができる可能性があります。スタートアップ企業や新商品のリリース直後など、スピード感を持って市場の反応を見たい場合や、すぐに売上が欲しい場合にはアウトバウンドが適しています。
アウトバウンド型営業を実施するデメリット

メリットの反面、アウトバウンド特有の難しさやリスクもあります。
営業効率が悪く、断られることが多い
こちらから一方的にアプローチするため、そもそもニーズの有無が事前にわかりません。そのため、ニーズがないという場合大半は断られます。テレアポの成功率は一般的に1〜3%程度と言われており、100件かけて99件断られることも珍しくありません。多くの時間と労力をかけても成果がゼロという日もあり、非効率になりがちです。
営業担当者の精神的負担が大きい
「いらない」「二度とかけてくるな」と拒絶され続けることは、営業担当者のメンタルを激しく消耗させます。モチベーションの維持が難しく、離職率の高さに繋がることもあります。また、高いコミュニケーション能力や、断られても切り替えられるタフさが求められるため、属人化しやすく、誰でもできるわけではないという教育コストの問題もあります。
企業のブランドイメージを損なうリスクがある
しつこい電話や、一方的なメール配信は、「迷惑な会社」というレッテルを貼られるリスクがあります。SNSを含むインターネット掲示板などで「〇〇という会社から迷惑電話が来た」と拡散される可能性もゼロではありません。強引すぎるアプローチは、将来の見込み顧客を失うだけでなく、企業ブランドそのものを傷つける可能性があるため、マナーと節度を持った活動が求められます。
アウトバウンド型営業を成功させるコツ

やみくもに電話をかけたりメールを送ったりするだけでは、現代のアウトバウンド営業は成功しません。以下の6つのコツを意識して、戦略的に行う必要があります。
質の高いターゲティングリストを作成する
アウトバウンドの成否の7割は「リスト」で決まります。全くニーズのない相手にいくら優れたトークをしても売れません。「自社の商品で解決できる課題を持っているのは誰か」を徹底的に分析し、業種、規模、エリア、設立年数などで絞り込んだ精度の高いリストを用意しましょう。リストの鮮度(情報が新しいか)も重要です。
トークスクリプトを作り込み、改善し続ける
営業マン個人のスキル任せにせず、勝ちパターンとなる「トークスクリプト(台本)」を作成しましょう。「挨拶」「課題のヒアリング」「解決策の提示」「反論への切り返し(アウト返し)」などを型化することで、誰がかけても一定の品質を保てます。また、一度作って終わりではなく、現場のフィードバックをもとに「この言い回しの方が反応が良かった」と常にアップデートし続けることが重要です。
アプローチのタイミングを見極める
相手が忙しい時間帯に電話をしても迷惑がられるだけです。業種によって繋がりやすい時間帯は異なります。例えば、飲食店ならランチタイムを避ける、一般企業なら始業直後や昼休み明けを狙う、または決裁者が在席しやすい夕方を狙うなど、相手の業務フローを想像してアプローチする時間を調整しましょう。
マルチチャネルで接触する
電話だけ、メールだけ、と手段を一つに絞る必要はありません。「メールを送った後に電話をして『メールをお送りした件ですが』と伝える」「電話で不在だった相手に手紙を送る」など、複数のチャネル(経路)を組み合わせることで、接触頻度を高め、相手の記憶に残る工夫をしましょう。これを「単純接触効果」と呼び、親近感を高める効果があります。
行動量と質を数値で管理する(KPI設定)
「頑張ってたくさんかける」という精神論ではなく、数字で管理しましょう。「架電数」「担当者接続数」「アポイント獲得数」「受注数」などのKPI(重要業績評価指標)を設定し、どこがボトルネックになっているかを分析します。「架電数は多いが接続率が低いなら、かける時間を変える」「接続できているがアポ率が低いなら、トークスクリプトを見直す」といった具体的な改善アクションに繋げます。
SFAや名刺管理ツールを活用する
過去に誰がアプローチして、どのような結果だったのかを記録・共有することは必須です。
情報共有ができていないと、同じ相手に別の担当者が電話をかけてしまい、「何度も電話してくるな!」とクレームになる恐れがあります。Excelでの管理には限界があるため、SFA(営業支援システム)や名刺管理アプリを活用し、チーム全体でアプローチ状況を可視化しましょう。た仕組みを積極的に活用し、人に依存しすぎないミスの少ない環境を整えましょう。十分な枚数を携帯しておくことが大切でしょう。
名刺管理アプリなら『Knowledge Suite』

アウトバウンド営業を効率化し、チームの資産として情報を蓄積するためには、ツールの導入が効果的です。特に、飛び込み営業や展示会で獲得した「名刺」の管理は、次のアプローチへの生命線です。
そこでおすすめなのが、『Knowledge Suite(ナレッジスイート)』です。
Knowledge Suiteは、名刺管理、SFA(営業支援)、グループウェアが一体となったクラウドサービスです。アウトバウンド営業において、以下のようなメリットを提供します。
| 独自の 名刺デジタル化技術 | いただいた名刺をスキャナやスマホで取り込むだけで、正確に文字データ化されます。 入力の手間をゼロにし、すぐに営業リストとして活用可能です。 |
| アプローチ履歴の 可視化 | その名刺の相手に対して、いつ、誰が、どんなアクション(電話、訪問、メール)を したかが一目でわかります。重複営業を防ぎ、最適なタイミングでの追客が可能に なります。 |
| ユーザー数無制限 | 何人で使っても月額料金は定額です。営業担当者だけでなく、全社員で情報を共有し、 組織全体で営業活動をバックアップする体制が作れます。 |
「交換した名刺が机の中に眠っている」「誰がどこに営業したかわからない」という課題を解決し、アウトバウンド営業の成果を最大化するために、Knowledge Suiteをぜひご活用ください。
まとめ

インバウンド全盛の時代にあっても、狙ったターゲットに直接アプローチできるアウトバウンド型営業の価値は失われていません。むしろ、待ちの姿勢だけでは出会えない潜在顧客を開拓するためには不可欠な手法です。
しかし、昔ながらの「数打ちゃ当たる」というやり方では、疲弊するだけで成果は出にくくなっています。質の高いリスト作成、適切なタイミングとツール活用、そして断られても次に活かすデータ分析など、「戦略的なアウトバウンド」へと進化させることが成功の鍵です。
インバウンドとアウトバウンド、それぞれの特徴を理解し、両方をバランスよく組み合わせることで、企業の営業力は盤石なものになります。ぜひ本記事を参考に、自社に合った攻めの営業スタイルを構築してみてください。
【執筆者】

松岡 禄大朗
ブルーテック株式会社・デマンドジェネレーション部所属。
前職のWEB広告代理店で広告運用やアクセス解析を担当。
WEBマーケティング知識を活かして、現在はコンテンツマーケティングに携わり数多くの記事を執筆。
ユーザー数無制限で利用できるシンプルで使いやすいKnowledge Suite!
各種お問い合わせはこちらからお願いします!
























