インサイドセールス組織立ち上げの5ステップ

インサイドセールス組織立ち上げの5ステップ

インサイドセールスは、フィールドセールスと異なり、営業担当者が物理的に顧客を訪問する必要がないため、時間的、空間的に制約を受けることなく、より多くの顧客をカバーすることが可能な為、近年インサイドセールスを開始する企業が増えてきています。

しかし、効果的なインサイドセールスを行うためには、適切な組織体制の構築が必要不可欠となります。本コラムではインサイドセールスの組織体制の作り方を3つのステップに分けて解説します。

インサイドセールスとは

まずは、インサイドセールスとは何か改めてご紹介します。

インサイドセールスとは、オフィスから移動せずに、電話やWeb会議ツールなどを活用して顧客に対して営業活動を行う戦略のことを指します。従来の営業活動は、「フィールドセールス」と呼ばれ、営業担当者が直接顧客を訪問して商品やサービスを提案するスタイルが一般的でした。また、インサイドセールスは、顧客の動向をデータで把握し、それをもとにした見込み顧客のリストを作成するなど、データドリブンな営業活動を実現する為、営業活動を数値化し、ロジカルに営業活動の分析・改善が可能となります。

インサイドセールスの組織体制づくりの手順

STEP1:KPI/KGIを明確化する

KPI(Key Performance Indicator)は、パフォーマンスを評価するための指標で、ターゲットと現状を比較することで業績を可視化する手段となります。一方、KGI(Key Goal Indicator)は、達成したい目標を数値で示したものです。これは組織全体や部門、個々の人に対する目標を定めることが可能で、業績の評価に直結します。

KPIとKGIを明確にしておくことで、インサイドセールスのパフォーマンスを評価し、目標達成に向けた行動や改善点を見つけ出すことが可能となります。

KPIの場合

セールス活動に関する目標を数値化したものを設定します。例えば以下のような目標値を設定するといいでしょう。

・連絡回数(電話/メール)
・アポイントメントの取得数
・商談数

クローズ数
・売り上げ金額

KGIの場合

組織が達成すべき大きなゴールを設定することが一般的です。例えば以下のような目標値を設定するといいでしょう。

・クオーター達成率
・売上目標値
・新規顧客獲得数

これらKPIとKGIを設定する際には、客観性を担保するためにも、明確に定義、計測可能であることが大切です。また、定期的なミーティングを通じてKPIやKGIの進捗状況を確認し、状況に応じて適宜見直す必要があります。

STEP2:業務範囲や連携方法を明確にする

インサイドセールスの業務範囲とは主に、リードの獲得から顧客管理までの流れを司ることを指します。インサイドセールスの具体的な業務内容は、企業の規模や体制、商品やサービスの性質によっても異なりますが、新規リードの獲得、見込み顧客とのやり取りと関係性の維持、などです。

インサイドセールスは他部署との連携が必須となる業務です。マーケティングが担当する業務、インサイドセールスが担当する業務、フィールドセールスが担当する業務、それぞれの担当範囲を明確化しておくことで業務の効率化を図ることができます。

また、マーケティング部とフィールドセールス部の間を取り持つ役割であるインサイドセールスは、リードに関する情報共有を中心として密接な連携が求められます。これらの連携方法も明確にすることで、スムーズな業務運営が可能となります。例えば、リード情報を共有するための方法、リード共有のフロー、部署間での情報共有会議のスケジューリングなどを行うことで、誤解や混乱を避け、業務の進行をスムーズに行えます。

STEP3:効果検証プロセスの構築

インサイドセールスを導入する段階では、その効果をどのように評価するかを決定する重要な過程が必要です。このステップでは、導入したインサイドセールスが業績に対して実際にどの程度の影響を与えているのかを具体的に把握し、必要に応じて改善策を講じるためのフレームワークの構築を目指します。STEP1で設定したKPIなどの目標設定値を用いて、定期的なモニタリングと評価の方法を設計しましょう。また、その結果を基にインサイドセールスの運用方法を見直し、改善するプロセスを設けることも重要です。

STEP4:顧客化に向けたシナリオ設計

インサイドセールスは、クライアントとの接触から成約までのプロセスを具体的に可視化し、一連の流れをシナリオとして明確に理解することが重要です。

インサイドセールスでは、まずリードを獲得し、次にそのリードを育成し、その後で商談を開始するというフローが主に取られます。この一連の流れを事前にシナリオ化しておくことで、予め期待される反応や難易度、必要なリソースを把握し、戦略的な営業活動を進めることが可能になります。

このシナリオ設定には、以下の要素を考慮すると良いでしょう。

顧客接触のパターン

顧客との接触やフォローアップは、電話、メール、SNSなどどのような手段を用いて行うのかを決めましょう。また、その頻度やタイミングも重要です。

メッセージング

どのようなメッセージを伝えることで、お客様の納得を得られるのかを明確にします。解決すべき問題や提供する価値をもとに、具体的な商品やサービス、価格等の情報も事前に整理しておくと、よりスムーズな営業活動が可能となります。

オブジェクションハンドリング

お客様からの反対意見や懸念に対して、どのように対応するのかを想定し、そのための答えを準備しておきましょう。これにより、お客様とのコミュニケーションが円滑に進みます。

フォローアップ

営業活動が終わった後のフォローアップ方法も重要です。顧客の反応やフィードバックを基に、改善点や次のアクションプランを考え、適切なタイミングで連絡を取ることが求められます。

これらを考慮し、一つ一つ丁寧にシナリオを設計することで、インサイドセールスの効率や成功率を大いに上げることができます。設定したシナリオは融通性を持たせ、常に改善と最適化を目指すよう心掛けましょう。

STEP5:担当者の確保と教育

インサイドセールスは、対面での営業とは異なるスキルや知識が求められますので、適切な人材採用とその育成が欠かせません。まず、担当者の確保について考えてみましょう。インサイドセールス担当者には、電話やメールを通じた理解力やコミュニケーション能力、そして自社の商品やサービスについて深く理解していることが求められます。そのためには、企業としては、取り扱う商品やサービスに関する知識がある人材、なおかつ営業経験がある人材を優先的に採用することが有効です。

また、インサイドセールスでは高いモチベーションを維持することが重要なので、業績に応じたインセンティブを設けるなど、働きやすい環境を整えることも忘れてはなりません。

次に、採用した人材をいかに育て上げるかがキーとなります。インサイドセールスのスキルを身につけるためには、定期的なトレーニングやフォローアップが必要です。ノウハウの共有、営業ロールプレイング、新しい営業手法や製品勉強会等を通じてスキルを高めることが大切です。

インサイドセール導入を成功させるポイント

インサイドセールスは、ただ導入するだけではなく、適切な運用が求められます。理由としては、インサイドセールスが他の部署やチームと密接な連携を必要とするからです。以下に、インサイドセールス導入を成功させるための具体的なポイントを3つご紹介します。

部署間連携を重視する

インサイドセールスは、従来の営業活動を自社内で完結させ、出社せずともリモートワークで対応する新たな営業スタイルであり、営業担当者が直接顧客と対話をすることや訪問をする派遣セールスとは異なります。そのため、情報共有や、連携協力体制が他部署と確立していないと、業務効率が落ち、結果的には売上げへも響きます。

一方で、マーケティング部門で収集した顧客データをインサイドセールスが活用して顧客へアプローチする、あるいはインサイドセールスが顧客から得たフィードバックを製品開発部門へ伝え、より良いサービス、製品の開発を実現するといったような連携が成り立てば、業績の向上に直結します。

具体的には、部署間のコミュニケーションツールを共有したり、定期的にミーティングを設けて情報共有をしたりすることで、連携協力体制を確立することが可能です。また、製品開発部門やマーケティング部門などと密に連携し、市場の反応や競合動向、新規市場の開拓などについて情報を得られるようにすることも重要です。

定期的にフィードバックを行う

インサイドセールスは、組織全体の連携だけでなく、個々のパフォーマンスの評価と向上も必要です。そのためには、「定期的にフィードバックを行う」ことが重要となります。

まず、フィードバックの頻度を設定することが求められます。例えば月に1回のフィードバックを予定に入れ、それを維持することをおすすめします。定期的なフィードバックによって、インサイドセールスのメンバーは改善点を早期に把握し、対策を実施することができます。

次に、フィードバックの内容はインサイドセールスのメンバーのパフォーマンスを的確に反映するものであるべきです。KPIやKGIを基にした数値評価はもちろん、コミュニケーションスキルや問題解決能力といった質的な側面も評価しましょう。

また、フィードバックは単にパフォーマンスを測定するだけでなく、メンバーのモチベーションを高める機会でもあります。具体的な行動指針や、次の目標設定につなげるフィードバックを心がけ、場合によっては本人の適正に応じて担当業務を再配置させることも必要となります。評価だけでなくコーチングの要素も取り入れながら、セールスメンバーの成長をサポートしましょう。

ITツールを活用する

インサイドセールスの成功は、ITツールの適切な活用に大きく依存します。高度なITツールを使うことで、顧客とのコミュニケーションを図るプロセスを自動化し、効率を向上させることが可能となります。具体的には以下のような手段が考えられます。

まず、CRM(Customer Relationship Management)ツールの活用です。顧客の情報を一元管理することが可能となります。売上や接触履歴、顧客の反応や行動まで詳細に把握し、個々のニーズに対応した提案が可能となります。また、営業担当者の負担を軽減し、顧客ごとの管理を行うことができます。

次に、プロダクト/サービス情報を共有するためにチャットツールをはじめとした情報共有ツールの活用があります。このツールを活用することで、営業チーム内で情報共有をスムーズに行い、質の高い提案を行うための情報を随時更新することができます。

また、コミュニケーションツールの活用も重要です。電話やメール、チャットツール等を使用し、リモートでも顧客と円滑にコミュニケーションをとることが可能となります。特にリアルタイムでの対応が可能なチャットツールは、顧客の問い合わせに即時に対応でき、顧客満足度を向上させることが可能です。

このように、ITツールの活用はインサイドセールスにとって非常に重要な要素であり、最新のテクノロジーを駆使することで営業の質と効率を改善することができます。ただし、新たなツールを導入する際には、その使い方を十分に理解し、適切に活用できるよう教育を行うことも重要です。

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